忍耐力と集中力、そして柔軟性
2007年度(新卒)
外国語学部英米学科卒業。2007年、翻訳パラリーガルとしてAMTに入所。
翻訳パラリーガルの業務内容を教えてください。
翻訳パラリーガルの仕事は、契約書、訴訟関係書類、ファイナンス関係の書類のほか、企業の事業報告書、投資家向けの情報など、企業法務に関わるあらゆるものを翻訳することです。また、和訳に基づいて作成した有価証券報告書等の継続開示関係書類の提出作業も行っています。和訳と英訳の割合はおおよそ半々です。法律用語は専門用語も多いので、入所して10年以上経った今でも、辞書をフル活用していますね。
案件によっては、1人で対応することもあれば、チームで進めることもあります。数百ページにおよぶ有価証券報告書の和訳では、チームで分担して取り組むことも珍しくありません。同一職種のスタッフは60名ほどおり、分からないことがあって困っているときなどは、他の翻訳スタッフが手を差し伸べてくれたり、ワークロードが過多になったときには、スタッフ同士で協力しあったり。1人ひとりが翻訳のスペシャリストであると同時に、同じ職場で働く仲間として、お互いに助けあう雰囲気があります。
ほぼ一日中デスクに向かっての翻訳作業となりますので、忍耐力と集中力が求められます。勤務形態としては、月の半分以上が在宅勤務で、事務所に出勤したときはフリーアドレスで好きな席を選べます。AMTでは、隣席との間にパーテーションがあって個人のスペースが確保されていますので、集中して仕事をすることができます。
入所後、どのように仕事を覚えていきましたか?
仕事は主に弁護士から直接依頼がきますが、その難易度や提出までのスケジュール、スタッフの経験値、繁閑状況などが考慮されますので、いきなり新人が数十ページの翻訳を頼まれるということはありません。
入所して間もない頃は先輩が担当している翻訳案件を数ページずつ訳し、先輩から訳したもののチェックを受けてから弁護士に回す、という流れで少しずつ実務を学んでいきます。ある程度訳せるようになると、今度は弁護士や先輩に働きかけて、自ら積極的に仕事を取りにいき、場数を踏んでスキルアップを図ります。
そのほかのスキルアップの場として、各分野の専門弁護士が全スタッフを対象に「ランチタイム研修」などを開催しています。英語力を磨くのはもちろんのこと、そういった研修にも積極的に参加することで、法律や案件の知識をさらに深めていけます。
仕事を通して自分が成長したなと思う点はありますか?
翻訳した書類は、弁護士が最終レビューを行います。直接フィードバックがもらえるうえ、第一線で活躍する弁護士の作成する書類に触れられますので、着実にスキルアップにつながります。年次が若い頃は、弁護士からいろいろと修正されることが多かったのですが、今では自分の翻訳が大きな修正を受けずにクライアントに送られることが増えて、「少しは成長したかな」と感じます。(入所当時に自分が翻訳した書類を今見返してみると、あまりの未熟さに恥ずかしくなります。でも、これは誰もが通る道なのかもしれませんね。)
翻訳パラリーガルのやりがいを教えてください。
翻訳の仕事は奥深く、唯一の正解のない仕事です。突き詰めればどこまでも突き詰めることができる、そこが面白さでもあります。10年以上働いた私でさえ「まだまだだな」と思うことも多く、日々、勉強しています。特に、ベテラン翻訳スタッフが作成した書類が蓄積された所内のデータベースで、和英を見比べてみては「ここはこう訳すんだ!」と常に新しい発見があり、本当に勉強になります。尊敬する先輩はたくさんいますが、中でも私の教育担当だった人は、翻訳文が「忠実かつ美しい」ので、私の憧れであり目標です。
翻訳パラリーガルに必要な資質は何だと思いますか?
翻訳パラリーガルに必要な資質は、柔軟性です。「厳密に訳してほしい」という注文もあれば、「読んだときに自然な文体のほうがいいので、直訳すると不自然な文章は意訳してほしい」という注文もあります。
私は、帰国子女だったこともあり、英語には自信がありましたし、コトバについての自分なりのこだわりもありましたが、この仕事についてみて、自分のこだわりよりも、クライアントの要望を第一に優先させなければならないことを学びました。「厳密に」と言われたならば、「日本語の表現として最善でなくても、厳密な翻訳が正しい翻訳」となりますが、「自然な文体のほうがいい」と言われたならば、「日本語の表現として最善な翻訳が正しい翻訳」となります。状況に応じて柔軟に翻訳する能力が必要です。
AMTの魅力はどこだと思いますか?
私が感じるAMTの最大の魅力は、ワークライフバランスを実現できる点です。翻訳パラリーガルは、女性がほとんどです。私は2度の産休・育休を経て今は時短勤務で働いていますが、仕事と生活はしっかり両立できています。私以外にも産休や育休を取ってから復職した人や、育児をしながら仕事を続けている人が多くいます。長く働き続けたいと考えている方には、良い職場だと言えます。
女性の多い部署ですので、もしかすると人間関係が複雑かと不安に思う方もいるかもしれませんが、そんなことはまったくありません。さっぱりしている性格の人が多く、それでいて温かみもある職場だと感じています。
入所を検討している方に向けてメッセージをください。
手に職がつく翻訳パラリーガルは、一生ものの仕事です。引き受けた仕事にじっくりと向き合って、自分のペースで作業を進められます。翻訳する文書は多岐にわたり、法律分野の翻訳者としてのスキルをしっかりと身につけられると思います。一流の翻訳家を目指したいという方はぜひ一緒に働きましょう。
1日のスケジュール
-
- 9:00
-
始業
メール・Slack(ビジネスコミュニケーションツール)をチェックして新たな情報や指示が来ていないか確認。
-
- 9:15
-
有価証券報告書の和訳開始
過去の提出書類も確認しながら慎重に作業を進める。
-
- 12:00
-
お昼休み
-
- 13:00
-
和訳レビュー
完成した和訳をチーム内の翻訳パラリーガルと共有し、チーム内でレビュー。
-
- 15:00
-
和訳を弁護士に送信
翻訳パラリーガル内でのレビューを終えた和訳を弁護士にメールで送信。
-
- 16:00
-
退勤